USB3.2 Gen2 Deviceを測ってみた

October 26th, 2020 by grladminjp

こんにちは。GRLの永田と申します。GRLでは、HDMIやDP、SIなどを中心に、測定業務に従事しています。今回のNEWS LETTER第11弾として、計測のノウハウ及び計測“あるある”を一度お休みさせていただき、USB3.2 Gen2 (10Gbps)デバイスの電気特性計測を行ってみました。

上記写真は、某大手通販サイトから1000円台前半で購入したUSB Type-C® M.2 SSDケースです。 製品ページにGen2対応と記述されておりましたが、半信半疑で使えればラッキーくらいの気持ちで購入してみました。

 

■Transmitterの電気特性計測

USB3.2 Gen2 Transmitterには大きく分けて下記の計測項目があります。
・Eye Short and Far END Test
・Random Jitter Test
・De-emphasis and Pre-shoot Test
・SSC Test

 

今回はEyeパタン測定について特に注目します。

USBの場合、以下の様に直接接続するタイプや、USBケーブルを使って接続するタイプがあるためShort ChannelとFar ENDまたは、Long Channelの試験が必要になります。 またUSB Type-C®の場合は両面の試験が必要になる場合があります。

 

Short、Short Channelとは名前の通り、USBメモリの接続を

想定しています。

 

Far END、Long Channelとは基板上のトレースやUSBケーブル経由での接続を想定しています。

 

右の写真はShort Channelの
計測結果となり、Eye上下と
中央にある赤いライン及び
マーカーに信号が触れてい
なければ結果はPassとなります。
この測定では短い伝送路を通過
した際のEYEパタン計測になり
ますので、大きくきれいなEYE開口が期待されます。
今回の結果も期待値に
近い結果になっています。

 

 

 

 

 

 

 

右下の写真はFar ENDの計測結果となり、Eye上下と中央にある赤いライン及びマーカーに信号が触れていなければ結果はPassとなります。 オシロスコープ内でケーブルモデルを適応し、イコライザをかけた状態のEyeが結果として表示されます。この計測ではUSBのアプリケーションで想定されるロスの大きい伝送路(ケーブル)を通した試験で、伝送路を経由した後の波形観測になります。
そのため信号は劣化して、振幅もEYE開口に小さくなります。そのため、そのままの波形を見るとEYEがまったく開かないケースもあるため、オシロ上でイコライザーをかけた後の波形をシミュレートしてEYEが開く状態を作って、評価する手法を取ります。こういった評価で使われるオシロスコープにはいろいろなイコライザーを再現する機能が備わっています。

 

 

 

 

■Receiverの電気特性計測

USB3.2 Gen2 Receiverには下記の計測項目があります。
・Long Channel Test
・Short Channel Test

受信回路の電気試験では、意図的に劣化させた信号を受信回路に入力して、信号の劣化に対する耐性を試験します。
計測実施に際し、劣化信号をUSBスペックに沿って生成し、劣化信号がきちんとUSBスペック通りに再現されているか厳密な確認作業が必要になります。これを受信試験のキャリブレーションと呼んでいます この作業はわずかな接続状態の違いにより信号の劣化具合にずれが生じてしまうため、適切な測定器、正しい手順、試験を熟知したエンジニアが必要になります。弊社ではこういった受信試験の自動化ソフトウェアの開発、販売も行っております。興味のあるかたは以下のリンクを見てみてください。
https://graniteriverlabs.co.jp/signal-integrity-si-solutions/

 

右の写真はLong Channelの結果となり、伝送路からの負荷以外に、サイン波変調のノイズ(SJ)の周波数を0.5MHz~100MHzの間の9ポイントで決められた大きさのゆらぎ(ジッタ)を掛けた信号をシリアルBERTより送信し、Receiverが正常に受信出来るかの試験を実施します。
BERTとUSBデバイスの接続は基板上のトレースを長く作ったフィクスチャーや、1mのType-C®ケーブルを使用し、伝送路からのノイズを信号に印加します。

 

 

 

 

 

 

 

 

 


右の写真はShort Channelの結果となり、Long Channelと同様のポイントに対し、決められたジッタを掛けた信号をReceiverが正常に受信出来るかの試験を実施します。この試験ではBERTとUSBデバイスの接続はBERTから余計なトレースや、ケーブルを入れない状態で接続します。

 

 

 

 

 

 

 

 

今まで、ご紹介してきた試験は、USB Specを満足しているかの確認を行う試験となります。

 


弊社ではReceiver試験について、マージン試験も推奨させていただいておりますので実際にやってみました。
右の写真中のMin SpecはUSBSpecのラインとなっており、通常はこのストレスにパスできるかどうかのみを試験します。しかし、マージン試験ではさらにコンプライス試験リミットを超えてどこまでパスできるかを確認します。当然、マージンが大きければ安心材料になりますし、マージンがすくなければ、製造ばらつきや温度、電圧などの環境条件によっては試験にフェールする結果になってしまうことも懸念されます。今回の事例ではマージン評価結果(Max Passed Jitter)はスペックを上回ってはいますが、さほどマージンが高くないことが確認できます。

 

上記以外にも、受信回路試験のストレス入力信号を生成する際に、意図的にノイズパラメータのバランスを変更して、Receiver回路ブロックにある特定の回路(クロックリカバリ回路やイコライザー)に対する個別のストレス試験なども提案させていただいておりますので、弊社にお問い合わせいただければ幸いでございます。

今回の事例ではかなり低価格な製品であったものの、特性的にはまずまずでした。しかしながら、近年、USBの正規の認証を取らずに市場に出回っている製品も多くみられ、そのなかには数多く粗悪品も含まれています。

製品ご購入の際には、認証の有無などを確認の上、購入されることをお勧めいたします。
また弊社では、世界中のPC、スマートフォン、チャージャー、ケーブルなどを独自に入手し、実力試験の結果を公表するGTrustedというサイトも運営しております。こちらのサイトでは弊社の測定機器を使用し、製品の相互接続性試験、動作の確認、特性チェックなどを独自に行っております。ご興味がある方は、是非一度ごサイトを覗いてみていただければと思います。評価で使用している機材は弊社で開発販売しているものも多数ございますので、評価方法に興味がある方もぜひご覧いただければ幸いです。

 

 

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