試験アウトソースのポイント GRL関根 連載企画

April 20th, 2020 by grladminjp

試験アウトソースのポイント<GRL関根 連載企画全5回>

GRLでラボのマネージメントを担当している関根です。今、新型コロナウイルスが猛威を奮っています。多くのお客様がテレワークなどに移行する「新しい仕事」の時代が予想されます。具体的には,開発の現場においても,計測試験をアウトソースする動きがより活性化してくると考え,皆さまにそのガイドとなるべく5回の連載で,解説をしていきたいと思います。

<第1回>試験受託先をどう見極めるか?
<第2回>試験を外注するために必要なことって?
<第3回>コンプライアンス試験にも「綾」がある!
<第4回>開発前からやっておくと後が楽
<第5回>GRLをどう使えばいい?

<第1回>試験受託先をどう見極めるか?

弊社Granite River Labsは試験を受託する会社です。弊社と同じような試験を受託する会社は,日本国内はもちろん,製品開発で関係の深い台湾・中国にも多く存在します。皆さまはそういった受託先をどのように見極めていらっしゃいますか?今回はインタフェースの電気試験を発注する立場の皆さまへ向けて,選定のポイントなどを解説したいと思います。

目次

・製品開発に関わる皆さまが置かれている状況

・委託先の現状とリスク:ケーススタディ

・どう見極めるのか?

<製品開発に関わる皆さまが置かれている状況>

日本のエレクトロニクス業界の潮目は,2011年3月の東日本大震災を過ぎたあたりではないかと思われます。2007年「リーマンショック」と呼ばれる金融恐慌がありましたが,製品開発の現場レベルでは開発やそれに伴う計測も技術者の手元で行われていた状況でした。代表的なインタフェースであるUSB2.0はオシロスコープの必要帯域が2.5GHzで,レンタルも含め個々の会社で準備できるものでした。当時でもHDMIのような一部の規格は高額な計測機材を必要としたものの特殊な例として受け止められていたと思います。

しかし,潮目となる2011年から2012年にかけて,世界中がUSB3.0をインタフェースに持つ製品の開発が進み始めました。試験を行うためには12GHz以上の帯域のオシロスコープと5Gbps信号にジッターを加えることができる信号発生器が必要となりました。総額で新築の家が買える程の投資に,震災から復興中の多くの会社が慎重になったのも当然です。それから8年,最新のUSB4は,4倍の20Gbpsを2レーンで伝送し,40Gbpsインタフェースとなっており,国内での開発がままならないというお話を聞きます。

ここでやっと本題にはいると,製品開発に関わる皆さまが置かれている状況は次のようではないでしょうか?

 開発案件の“Over Gbps”という高速化に伴い設計・検証のために高額なシミュレーションツールや計測機材の導入が迫られている
 購入や高額レンタルの投資リスクをヘッジする仕組みが必要となっている
 高額なツールや機材を導入しても有効活用できる人材や経験が足りない
 試験需要は常に一定ではなく,社内に整備しても効率的な活用が見込めない

これらの解決策として,試験を受託する会社や公的機関が活用されつつあるのが現状だと思われます。

 

 

 

<委託先の現状とリスク:ケーススタディ>

委託先として考えられる団体は,以下の2ケースが考えられます。
 「公的機関」や「ただの受託試験会社」
 「副業」の試験受託

前者からいうと,わたくしどももその一つに属するわけですが,よくお客さまから他社が実施した試験の結果レポートのレビューを行うことがあり,正直,驚くことが少なくありません。例えば,以下のケースが典型的で,1から3の順で悪質になります。

  1. 試験内容を理解していないため,正しくない「Pass判定」を出している。
  2. 試験モードを事前に準備させず,信号がでない理由で試験項目をスキップしている。
  3. フェイルであるにも関わらず,パスと判定している。「間違え」?「不正」?

なぜこれらが典型的かというと,役務としての作業が完了するからだと思います。
「内容は分からないけど計測器メーカのツールがPassと表示しているから問題ないだろう」,「フェイルと判定すると作業が長引き関わりたくない」と言ったことでしょうか。項目3のケースでは,お客様に試験実施者に再確認してほしいと依頼しました。そこで得た回答では,「問題ないと判断しました」と。いやいやその判断こそ,報告書に記載すべきことでしょう。

一方,開発受託を中心とされている会社について考えていきます。ホームページを拝見すると,“開発実績あります”,“試験「も」やっています”という記載を目にします。開発できるということは,製品がどのように動作すべきか,つまり,製品と技術仕様を把握していることであり,試験ができない方がおかしいはずです。とはいっても最近はLSIのブラックボックス化が顕著なので,仕様を把握していない計測結果も見かけています。また,開発実績があるということは,類似の製品を扱ったことがあることを意味します。最近の開発の作法,特にFPGAに絡むものであると,外部のIP導入が欠かせません。発注されるお客様にとって,現在使っているIPのベンダとのNDAに抵触しないかなどを検討する必要も考えられます。

そういったNGケースを以下の図にまとめました。他の懸念も記載しましたので,ご覧ください。

 

<どう見極めるのか?>

間違いの元は,ご発注を担当する皆さまが「各社・団体,同じ品質で提供されるであろう」という前提に立っていることです。本来であれば,発注仕様書を作成して納品結果の品質を確保することになります。このテーマについては,今後解説していきます。

話を戻すと,見積り要求と同時に,「試験条件書」の提示を求めます。そこには何を実施するかが記載されており,できないことについてのリスクも想定されているはずです。また,どういった場合に試験が実行できないのかなど,電話などで,担当営業や試験担当者にいくつか質問をしてみることです。論理的で納得のできる回答を返せない会社・団体は避けた方がいいです。

弊社グライナイトリバーラボ(GRL)ではお見積り提出の際に,試験条件書として,SOW(Statement of Works)を出来るだけ提出しております。価格の高い安いはありますが,サービスで重要なのは何を提供するのかを明確に示していることです。つまり、価格だけで試験委託先を決めるリスクがそこに潜んでいることになります。もちろん、価格はビジネスにおいて最も重要な要素ではあることは弊社も重々承知しております。

 

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